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生徒名簿 > 東雲巽 >[プリズム]東雲巽(SSR) ※カードにキラキラエフェクト有、デート不可、ストーリーおよびスチル無しといった特殊カードです。 [プリズム]東雲巽(SSR) 攻魅力 16380 守魅力 16380 攻M 42147 守M 42147 コスト 20 卒業祝い 40000メン アピール 俺を信じてついてこい、後悔はさせない。 └全タイプの攻守魅力大UP ストーリー なし 入手方法 愛情度 台詞 ボイス +... カレ自慢アピール 大事な女の前だ、勝たせてもらう。 マイページ 守りたい存在がいると、男は強くなる。 マイページ おまえを支えられる男でありたい。 マイページ おまえのすべてを、この手で受け止める。 マイページ +... おまえのすべてを、この手で受け止める。 おまえを支えられる男でありたい。 守りたい存在がいると、男は強くなる。 登校 +... 朝 朝稽古、おまえも一緒にやるか? ははっ、冗談だ。 いい朝だと思えるのは、おまえと会えたからだろうな。 おまえに挨拶されると、不思議と力がみなぎってくる。 放課後 おまえが傍にいる、そのことが俺の力の源になるんだ。 おまえの笑顔なら、いつまでも見ていられる気がするな。 稽古の時間か……おまえといると時間が経つのが早い。 夜 明日もおまえと会いたい……最近よくそう願ってる。 おまえが元気だと安心する。明日も笑顔を見せてくれ。 帰りが遅いと家族が心配するぞ。今日は俺が送っていく。 カレ自慢 +... 対決画面 ― 大事な女の前だ、勝たせてもらう。 告白タイム +... [部分編集] 戦闘中台詞 ― 勝利 ― 敗北 ―
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清純 [魅惑のアイドル]九尾の狐 (LSレア) 清純 [魅惑のアイドル]九尾の狐+ (LSレア) 清純 [誘惑アイドル]九尾の狐 (LSレア+) 図鑑 長生きはするものだ、っていうけれど、まさかこんな日がくるとはね…。巫女でもない私が、民の前で歌い踊るなんて。あなたの喜ぶ顔が見れるのなら、やぶさかではないけれど…。わざわざ人前に出ないとだめなの…? あなたは、愛されることの形がたくさんあると言いたいのね?それを私に知ってほしいと…。私はあなたを愛し、あなたの愛だけあればいいけれど、いいわ。やりましょう。あなたが私に教えたいと思うこと、私は全て知っていきたいから。 あなた達の声と愛、しっかり私に届いている。ありがとう…。だから私の、あの人に注ぐためだけ愛を、少しだけあなた達に分けてあげる。ほら…。もんすたぁプリンセスΩ、傾国と呼ばれし守りたくなる姫No1、九尾の愛で、身を滅ぼすほど焦がれてみる…? 基礎攻姫力 12000 MAX攻姫力 12600(+600)基礎防姫力 10500 MAX防姫力 11025(+525) 基礎攻姫力 14400 MAX攻姫力 18360(+1440)基礎防姫力 12600 MAX防姫力 16064(+1260) 基礎攻姫力 17280 MAX攻姫力 (+)基礎防姫力 15120 MAX防姫力 (+) Rank 1 必要姫力 35 属性 土 種族 怪異年齢 16身長 158 体重 42B 86 W 51 H 79趣味 SLM72を歌ってみた艶技 絶望への招待効果 自分の攻防 特大アップ艶技 誘惑効果 相手の攻撃を受けない手切金 11750 Rank 2 必要姫力 35 属性 土 種族 怪異年齢 16身長 158 体重 42B 86 W 51 H 79趣味 SLM72を踊ってみた艶技 幻視の黙示効果 自分の攻防 極大アップ艶技 誘惑効果 相手の攻撃を受けない手切金 17625 Rank 3 必要姫力 35 属性 土 種族 怪異年齢 16身長 158 体重 42B 86 W 51 H 79趣味 もんプリΩになってみた艶技 幻視の黙示効果 自分の攻防 極大アップ艶技 誘惑効果 相手の攻撃を受けない手切金 26437 マイベッド アイドルでいられるのは華のうち…そういうものなのね? 歌とダンスのレッスン…思った通り大変だわ… 踊るには…尻尾が邪魔かもしれないわね… 声量がなくても、マイクというものがあるから大丈夫、なのね? 音痴ではないけれど…声量には自信がないわ ちょ、ちょっと!言うことを聞いて!もう…尻尾が邪魔をして… 可愛らしい衣装のプレゼントは嬉しいんだけど… てぃ、ティターニア…あの娘わりとなんでも出来るのね…!悔しいわ… ところで、似合っているかしら…?ちゃんと言ってくれないと不安だわ… ところで…スカートの下は、どうすればいいのかしら? 探索 あなた、この衣装の採寸は誰がしたの?ちょっとだけ胸が苦しいわ アイドルとは民に愛される存在…そういうものなのね? いつもみたいに触ってくれないのね。アイドルには触れちゃだめ?…そういうもの? いつぞや出会ったSLMとかいう集団、ふざけていると思ったけど…すごいのね この柄、可愛いわね。今まで見たことがないわ!チェック、というのね? このひらひらしたスカートは、めくれるためだと思って間違いない? 別に、渋ってないけど…。でも、本当にやらないといけないの…? 猫かわいがりされてきたから、重労働は得意じゃないの… 昔、時を越えてあなたの生徒になった時みたいな服ね バハムート、サボってばっかりなのに、もう振り覚えたのね…癪に障るわ! 服従度UP 私一人じゃないから安心しろ?…他の娘もいるのね…。まぁ、また私は正妻にはなれなかったわけだし、あなたが困るようなことは言いたくないけど… 周りの娘達はかしましくて大変だけど、なんだか形になっていくって、いいものね。あなたも、楽しい?私が笑っている?…そうね、ちょっと楽しいわ。 服従度MAX あなたが私を好きなように着せ替えて、私に好きなことをさせる。いくらでも受け入れられるけれど、他の誰かに見せるというのは…まだ抵抗が…あるのよ? 誰かのために尽くす。それは私にとって、最愛の人の為だけに必要な為だった。でも、私を待っている誰かのために頑張る…という行為も、存在するのね。 決闘 私の歌と踊りが見たいの…? 愛され方の新しい形を…知るわ 入れ込みすぎると…滅ぶわよ♪
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それが気になったのは、いつ頃からだろうか。 ―――――――――――――――――――― 弾丸論破 ナエギリSS 『女の子・1』 ―――――――――――――――――――― 「えっと…親子丼」 「ハンバーグプレート、ポテトサラダとライスを大盛りで。あとコーンスープ」 …念のため言っておくと、前者が僕の注文だ。 いや、これでも食欲旺盛な男子高校生。 今日はたまたま、懐の経済事情が厳しいので、量の割に安い丼ものを頼んだというだけ。 仮に僕が、値段やカロリーを気にせずに後者の注文をしたとて、誰が咎めるだろうか。 そう、問題点はそこである。 僕が頼めば、なんの違和感もない、そのハンバーグプレート大盛り。 注文したのは、僕の隣で凛と佇む、細身の少女なのだ。 隣に並んでいる男子が、マジかよと言わんばかりにこちらを見ている。 マジである。 此方におわします『超高校級の探偵』霧切響子さん。 彼女は、大の男が食べるような量のご飯を、涼しい顔をしてペロリと平らげてしまうのである。 ――――― 『隣、いいかしら』 『あ、うん。喜んで』 そう言って、彼女と昼食を共にしたのはいつが最初だっただろうか。 最初はなぜか、気にならなかったのだ。 モリモリと食事を口に運んでいく彼女の姿が、やけに自然というか、絵になっているというか。 しかし、他の女の子の昼食や、周囲の反応を見て、少しずつ僕も違和感を感じるようになっていった。 大食い、という言い方では品が無い。 霧切さんは、すごい…こう、すごい食べる人だ。 自分のボキャブラリの無さは、考え出すと悲しさが溢れだすから、まあ目をつぶるとして。 当然ながら混雑している昼食時の食堂は、相席を余儀なくされる。 それなら、誰とも知らない相手と気まずいランチタイムを過ごすより、顔見知りのクラスメイトの方がマシだ、と。 そんな理由で、食堂で顔を合わせれば、僕達はどちらからともなく互いに隣り合うようになった。 クラスと寮が同じと言うだけの、僕と彼女の接点なんて、その程度だ。 そもそも住んでいた世界が違うんだし。 ――――― 「いただきます」 「いただきます」 互いに手を合わせ、自分の昼食に手を伸ばす。 「…」 「…」 双方無言。 ただ黙々と行儀よく、食器の鳴る音だけが二人の間に響く。 僕と彼女のランチタイムはこんなものだ。 会話が弾む時もあれば、互いに一言も発せずに終わる時もある。 霧切さんが話題を切り出すことも時々あるし、僕から何か尋ねれば、例外なく彼女は反応を返してくれる。 最初の頃は沈黙が痛くて、必死に会話を繋げようとどうでもいい話を繋げて繋げて。 けれど最近は、この沈黙にも慣れてきた。 慣れては来たのだけど。 「…」 やっぱり、せっかく一緒に食事を取っているんだし、話はしたい。 それは、彼女が持つ『探偵』という性質のせいなのだろうか。 一度霧切さんが沈黙すると、こちらから話題を切りだすのに酷く緊張させられるのだ。 直接拒まれたことはないけれど、霧切響子と言う人間に踏み込むのは憚られる。 それは、砕いていうなら、絡みにくいとかそういう言葉になるのだろう。 つまるところ、僕はまだ彼女のメールアドレスすら知らずにいるのだ。 そして、例えば他の友人たちのように、一緒に帰ったり、どこかに出かけたりという所までは望まなくとも。 もう少し彼女とも親密になりたいな、なんて思っていたりするのだ。 「…、と」 何か切り出すきっかけを探して、僕はまた彼女が食べる様に目を向けた。 希望ヶ峰学園の学生食堂は、かなりレベルが高い。 購買もあるのに昼食時に混雑するのは、それが理由だったりする。 彼女が食べているハンバーグプレート一つにつけてもそうだ。 その重厚感たるや、思わず『ファミレス!?』と突っ込んでしまいそうな質とボリューム。 それにコーン、ポテト、ブロッコリーに人参のグラッセと、付け合わせも豊富。 本格的にも、熱した鉄板に乗せられてくる。 まあ、普通の女子高校生が昼から頼むような料理じゃない、と思う。 そして、そんな肉々しさたっぷりのハンバーグプレートを、 ひょい、ひょい、と、かなりのハイペースで、霧切さんは口の中に押し込んでいく。 不思議と粗野な感じはしない。 驚くほど丁寧な所作で、肉を切り分け、フォークの背にライスを乗せて、口に運んでいく。 あくまでテーブルマナーに乗っ取ったその食事は、むしろ上品なものに感じてしまう。 「…苗木君」 と、彼女に名前を呼ばれて、ふと僕は我に帰る。 霧切さんはいつの間にか手を止めて、ジト目で僕のことを見ていた。 「そんなに見られていると、食べにくいわ」 「あ…そうだよね、ゴメン」 「謝る必要はないけれど。私の顔に何か付いていたの?」 「――いや、よく食べるな、と思って」 「…」 二階級特進。 そんな不穏な単語が、頭をよぎった。 「…あ、いや、その…」 馬鹿か。よりにもよって、女の子に面と向かってそんなこと。 せめて、もう少しオブラートに包んだ言い方だってあるだろうに。 どうしてこういう時に気が利かないんだ、僕って男は。 と、及ばざるがごとしながらも、謝罪の言葉を口にしようとして、顔を上げると。 「…そうかしら。まあ、苗木君と比べれば健啖な方だけど」 言われた本人は、当惑するでも顔を赤く染めるでも、ましてやデリカシーの無い僕に愛想を尽かすわけでもなく。 淡々とそう返して、また食事に戻るのだった。 「…」 うん、まあ。彼女の言っていることはおおむね間違ってはいないんだけど。 確かに、霧切さんが食べている量は、規格外かと問われればそうでもない。 僕にしたって、それほど大食いと言えるわけじゃないし。 あくまで比較して、彼女の方が量が多いという、それだけの話なんだけど。 なんだかなあ、と頭を掻いて、僕も自分の食事に戻っていった。 そもそも、今の発言を気にするなら、最初からあんな量を頼んではいないか。 ――――― 以前舞園さんと昼食を共にした時のことだ。 霧切さんの量に慣れている僕は、彼女の昼食に目を丸くしたのを覚えている。 『苗木君…これ、半分食べてくれませんか?』 言って彼女が差し出したのは、まだ手の付いていない、主菜の肉野菜炒め。 お腹が膨れて残すのならともかく、なぜ食べる前からくれるのだろう、と僕が顔を傾げると、 『や、さすがに一度箸をつけたものを渡すわけには…いかないじゃないですか』 と、照れ半分困り半分で笑う舞園さんの顔があった。 いわく、最初から半分しか食べない予定で注文したらしい。 ライスも小盛りで、サラダとみそ汁でお腹を膨らませる作戦なのだとか。 『油断するとすぐに増えるんです…!乙女の敵です!』 なんて、厳しい目をして語っていたっけ。 いくらアイドルとはいえ痩せているんだし、もう少しくらいゆとりのある食生活でも罰は当たらないだろうに。 どうも昨今は、淑女たるもの小食たれ、という風潮に囚われてしまっているみたいだ。 慎ましやかは結構な事だと思うけれど、なんだかなあ、と思ってしまう。 テーブルマナーや淑女のたしなみも結構な事だと思うけれど。 やっぱり、残さず美味しく好きなだけ食べることが、料理に対しての一番の礼儀だと思う。 なので、肉野菜炒めは一口だけもらって、後は丁重にお断りして、 お返しに、えび天重のえびを一匹丸々、半ば無理やりに食べてもらったっけ。 『うう…恨みます、苗木君…』 そう言いながらもえび天を頬張る舞園さんは幸せそうで、思わず頬が緩んだのだった。 ――――― さて、それから見ればもう一方。 こちとら何の躊躇いも無く、『男子の前で』『豪快な肉料理を』『大盛りで』頼める女傑である。 この学園で同じことができるのは、後は水泳少女くらいじゃないだろうか。 誤解のないように付け加えると、当然僕はそれを否定しているわけじゃない。 むしろ、彼女がそうやって食べている様子は、見ていて気持ちがいいほどだ。 一緒に食事をしていれば、思わず釣られてこちらの食も進むほど。 前述の通り、希望ヶ峰学園の学食はレベルが高い。 その中でも、とりわけ根強い人気を誇るのが、この親子丼である。 「ん…」 一掬いして、口に。 卵の半熟具合はもちろんのこと、塩ベースのタネに出汁の風味が効いている。 炭火で焼いて旨みを閉じ込めた大ぶりの鶏肉と長ネギに、口の中で広がるしめじの香りのアクセント。 うん、やっぱり美味い。自然と顔が綻ぶ。 これでワンコインなんだから、もう何も言い残すことはありません。 これは真似しようと思ってもなかなか真似できないクオリティ。 黄金比ともいえるタネの配合なんか、特に。 これを食べられるというだけでも、希望ヶ峰学園に入学した甲斐が、…… ふ、と視線を感じて、目を上げる。 さっきとは逆に、今度は霧切さんが食事の手を止めて、僕をじっと見ていた。 「…あの、どうかした?」 「いえ、別に」 いやいや、さっき自分で、食べている人を凝視するなと抗議しておいて、それはないでしょう。 と、抗議の視線を送ってみれば、 「…苗木君、もしかして食にはかなりうるさい方なのか、と思って」 そんな、突拍子もない答えが返ってきた。 「へ?」 「やっぱり、自分では気付いていないのね。あなたの目、すごく輝いているわよ」 親子丼を食べている時や、私のハンバーグを見ている時も、と、彼女が付け足す。 「――っ…」 途端に、顔が熱くなった。 「ちなみに、探偵は関係ないわよ。あなた、顔に出やすいもの」 それは、子供のように食べ物で一喜一憂する、食い意地の張った自分を恥じてか、 それとも、すぐ隣で微笑んでいる彼女の顔が、反則級だったからか。 「否定しないということは、図星?」 どちらにせよ、と。 照れ隠しに、僕は切り返す。 「霧切さんこそ、結構食べるけど…こういうのは好きなんじゃないの?」 「私?」 尋ねれば、面喰ったように目を見開いて、それから伏せる。 「…どうかしら。娯楽としての食生活は悪くないとは思うけれど…あまりしてこなかったわ」 「どうして?」 「必要性を感じなかった、という言葉では、味気ないかしら」 それは、うん、確かに。 味気ないというか、もったいないというか。 と、自分のことを語るのは思う所じゃないのだろう。 居心地悪そうに口籠り、それから彼女は話題を戻した。 「…私のことはいいのよ。それより、あなたの話を聞かせて」 「え、僕?」 「そうよ。食事の話題を切り出したのは、あなたの方でしょう?」 おかしなルールもあったものだ。 まあ、確かにきっかけは僕に違いないんだけど、あれは口が滑ったというか、そんなつもりじゃなかったというか。 「それに…あなた、あまり自分のことは話さないでしょう」 「そう?それを言うなら、霧切さんだって話したがらないよね」 「私はそんなことないわ。隠しているわけじゃないもの」 「それなら僕だって。隠してるわけじゃないし」 「あら、隠してるわけじゃないなら、聞いてもいいのよね?」 詭弁だなぁ、と思いつつ。 ふふふ、と不敵に笑う霧切さん。 目がきらきらと輝いているのは、多分本人も無意識の所なんだろう。 「『超高校級の幸運』の謎を解き明かす、絶好の機会ね。覚悟しなさい苗木君、丸裸にしてあげるわ」 そもそも探偵業、知らないことを知る、というその行為がもう趣味の領域なんだろう。 でも、せっかく目を付けてもらって悪いんだけど。 「…本当に、人に話せるような面白い話はないよ」 僕も、あんまり気が乗らない。 霧切さんを満足させられるような話があるとも思えないし。 「僕は、霧切さんの話を聞きたいんだけどな。外国にいた頃のこととか」 「私の話こそつまらないわ。人に話せるような面白い話はない」 「いや、だから僕も、」 「あなたの話がつまらないかどうかは、私が聞いて決めるからいいのよ」 「でも、それなら霧切さんの話だって、」 「そういえば調理実習の時も、苗木君の班だけやたらに盛り上がっていたわね」 ああもう、なんなのこの人。 自分のことは棚に上げて、すごいぐいぐい来る。 こっちの言い分は、聞く耳すら持ってくれないのに。 僕の押しが弱いせいもあるんだろうけど、どうも探り合いじゃ分が悪いようだ。 こういう、少し強引に情報を聞きだす技術も、探偵には必要なんだろう。 彼女の追及から逃れる術も思いつかないし、仕方なしに覚悟を決めた僕の目の前に、 つ、と、一切れのハンバーグが差し出された。 何事かと思って顔をあげれば、霧切さんがフォークで器用にそれを僕の器の中に入れている。 そして、『これで満足か』と言わんばかりのドヤ顔。 意訳、ハンバーグあげるからこっちの話に付き合いなさい。 いや、あの。 仮にも女の子がですね、そういう食事中のマナーというか、 一度口を付けた食器で、男子に料理を渡すという行為は、 「…苗木君?」 そういうの、意識しちゃうじゃないか。 「は、はい…」 霧切さんは、ハンバーグを茫然と見ている僕を訝しげに見て、首をかしげた。 その仕種が少しだけ子供っぽくて、いつもの大人びた霧切さんとのギャップに、さらにドキッとさせられる。 「食べないの?ハンバーグは嫌いだった?」 「いや、そんなこと…うん」 いやいや、待て僕。 首をかしげた、ということは、霧切さんは気づいていないか――それともなんとも思っていないのか。 どちらにせよ彼女が気付いていないのなら、それを僕が意識するのは彼女にも失礼じゃないか。 そう思い、いざ一口に放り込んだハンバーグは、 「あふっ!」 先ほどまで鉄板の上にあったためか、思っていたよりもかなり熱く、 霧切さんに、子供の戯れを見るような眼で笑われてしまうのだった。 ――――― 「――じゃあ、ご両親が出張の際は、部活で帰りの遅い妹さんのために料理を作っていたのね」 「まあ、そうなるかな。うち、共働きだったし」 焼けた石のように熱かったハンバーグも、のど元過ぎれば何とやら。 急いで飲みこんでしまったのが惜しくなるほど、口の中には肉汁の風味が残っている。 僕が飲み込むや否や、矢継ぎ早に霧切さんに質問責めにされて、十分弱。 ホントにこんなつまらない男子の話の何が楽しいのか。 へえ、とか、ふーん、とか言いながら、霧切さんは相変わらず目を輝かせている。 「今も料理はしているの?」 「まあ…暇なときとか、小腹がすいたときとかに、ちょっと」 「得意な料理は?」 「うーん…どうだろ、意識したことないかな。レシピと材料があれば、大抵のものは作れる…と思う」 「そう。煮ものとか、そういう地味…家庭的な料理が似合いそうだから、そっちかな、とも思ったんだけど」 くす、と誤魔化すように笑う霧切さんを、僕はねめつけた。 「…今、なんか攻撃的な単語が聞こえたんだけど」 「気のせいじゃないかしら?」 悪びれた様子も無く、彼女は僕をからかって楽しんでる。 その笑みにあまりにも邪気が無くて、それ以上追及する気がそがれた。 けど、と。 「…煮ものは地味じゃないと思う」 反撃にもならないけど、ぼそりと言い返す。 確かに時間との勝負のような料理だけれど、だからって手が抜けるわけじゃない。 素材や作る量によって、調味料と相談が必要だ。火加減にも気を抜けないし、灰汁取りも面倒。 味のしみ込み方や、食べる相手の年齢も考えて、具材の切り方にすら気を配る必要がある。 そういう手間がかかるという意味では、ある意味僕の苦手な料理と言えるかもしれない。 「――だから、煮ものは地味どころか、すごく奥が深い料理なんだよ」 と、言葉とともに、ビシッと霧切さんばりに人差し指を立ててキメて、 「…」 「…」 その行為の恥ずかしさに耐えきれず、そろそろと腕を机の下に戻した。 向かいの席に座っていた生徒が、何事か、と僕の方をじろじろ見ている。 ああ、また調子に乗っちゃった、恥ずかしい。 「…だから、話したくなかったんだ」 「あら、どうして?料理の話をしている苗木君は、すごく活き活きしているわ」 だから、だ。 まるでいつもの自分のテンションじゃないみたいになってしまう。それは、すごくみっともないし、それに、 「…可笑しいでしょ。男が料理好きなんて」 以前の調理実習で、僕の班が盛り上がっていた原因の半分はそれだ。 みんなの包丁捌きの危なっかしさや、料理知識の不足さを見かねて、僕があまりにも出張ってしまった。 『うおお、千切り早えええww』 『苗木すげえ、女子よりすげえww』 『お前もう専業主夫だなww』 彼らはたぶん、称賛してくれたんだろう。 けれど男子にとって、称賛と冷やかしは紙一重。 他の班からも湧いてきたギャラリー、その好奇の目に、僕は実習中延々と晒されることになってしまった。 …あの時の恥ずかしさは、ちょっとトラウマ。 「それは偏見よ」 と、意趣返しか、霧切さんが僕の鼻先に人差し指を突きつけた。 やっぱりこのポーズは、彼女がやらなけりゃ様にならない。 「…念のため言っておくけれど、地味だなんて冗談よ。気を悪くさせたのなら、謝るわ」 「あ…ううん、気にしないで」 急に霧切さんが真面目な顔になったので、面喰らってしまう。 感情の機微に敏いのか、こういう会話の中で彼女は時々、すごく律義というか真面目になってしまうのだ。 それは彼女の、隠れお人好しな人柄から来るんだろう。でも、今だけは少し居心地の悪さを感じる。 「――まあ、得意かどうかは分からないけれど、中華はよく作るかも」 少し強引に軌道修正。 料理の話題に戻すと、再び霧切さんは目を輝かせた。 「へえ…少し、意外だわ」 「そう?適当に作っても味は整うし、逆に極めようとすればどこまでも行けるから、作ってて楽しいんだ。 小腹が空いた時にササっと出来るし、一品小物を加える時も冷蔵庫の残り物で出来ることも多いから、重宝してた。 あと、調味料が多いのも特徴で、自分なりにアレンジが加えられるのが…って、語れるほど上手いわけじゃないんだけど」 照れ隠しに頬を掻いて見せる。 と、霧切さんは身を乗り出して、 「…ねえ、今度御馳走してくれない?」 そんなことを言いだした。 「うええ!?いや、ホント人に出せる腕じゃないんだってば!」 「そんなに驚かなくてもいいでしょ。というか、味云々よりも、料理をする苗木君が見てみたいわ」 「や、やめてよ…」 本気で恥ずかしい。 何が恥ずかしいって、霧切さんが冗談じゃなく本気で言っている所だ。 彼女は本気で僕に料理を作らせて、その過程を眺めて楽しもうとしている。 「ねえ、良いでしょう?材料費は全部負担するし、雑用くらいなら手伝うから」 「そ、んな、別にいいって…いや、よくないけど…っていうか、もう僕の話は良いでしょ!」 今度はやや強引に、はっきりと話を打ち切る。 む、と眉をひそめられたが、さんざん聞いて満足したのか、今度は大人しく食い下がってくれた。 はあ、ようやくターンエンドだ。 このままずっと霧切さんのターンかと思ったけれど、まだ昼休みには余裕がある。 「じゃあ、今度は霧切さんの番だよ」 「…私?」 讃えていた微笑がふっと消えて、霧切さんが真顔になる。 う、やっぱり迫力というか、無言無表情の威圧感というか。 でも、僕ばかり質問されたなんて不公平だし。 「私の方こそ、人に話せるような面白い話はないわ」 「霧切さんの話がつまらないかどうかは、僕が聞いてから決めるよ」 と、意趣返し。 僕だって、やられっぱなしは好きじゃない。 挙げ足とられたのが気に食わないのか、霧切さんはますます眉をひそめる。 けれど、反論はしない。 好きに質問してくれ、ということだろう。 「じゃ、向こうにはどんな料理があったとか、こっちと比べてどっちが好きだとか、」 「――待って」 掌をかざして制止される。 「…苗木君。私はあなたから話を聞く時に、ハンバーグを一切れ差し出しました。わかるわね?」 「……、あ、うん。そうだよね」 こういう所で、変にきっちりしている。 意訳、話して欲しければなんか寄こしなさい。 まあ、そこまで乱暴な口ぶりでもないし、せせこましい人でもない。 たぶん彼女自身、同級生とこうやって昼食を交換したりするのを楽しんでいるんだろう。 僕だって、さっきは意識しすぎたけれど、こういうお弁当の交換みたいなのは好きだ。 さて、僕が口を付けてしまった親子丼を渡すわけにもいかないし。 飲み物でも買ってこようか、と、僕がポケットの小銭に手を伸ばしたのと、 何のためらいも無く霧切さんが親子丼の器に手を伸ばしたのは、ほぼ同時だった。 「え」 当然のように、さっきまで僕が使っていたレンゲを手に取り、親子丼を一掬い口に運ぶ。 ぱく。 もぐ、もぐもぐ…もぐ。 ごくん。 飲み下す音が、やけにリアルに耳に届いてきた。 「…む。丼ものは味が単一で大雑把な料理だと思っていたけれど…これは侮れないわね」 口端に付いた米粒を、ペロリと舌を出して舐め取る。 小さな舌、柔らかそうな唇。 レンゲと丼を返して、彼女はまた首をかしげる。 「…それで、何を話せばいいのかしら?」 親子丼がお気に召したのか、少しだけ上機嫌な霧切さん。 それに対して僕は、 「あ、あ…ぅ」 返ってきた器と霧切さんを交互に見比べて、まともに言葉を紡げない唇をひたすらに動かすのだった。 いくらなんでも、無防備すぎる。 年頃の女の子が、男子を相手に、そういうことを躊躇なくするなんて。 そう、注意しようとしたいのに。 僕の頭はまともに働かず、親子丼、だの、僕の、だの、意味を成さない単語を呟いてばかり。 それをどう勘違いしてしまったのか、 「…そんなに親子丼が惜しかったの?」 しょうがないわね、と、お姉さんのような口ぶりで、ハンバーグをもう一切れ、丼の中に入れられる。 そうじゃないのに。 いや、何もそれが悪いって言っているわけじゃなくて、嫌なんかじゃなくてむしろ――って、何考えてんだ。 霧切さんは、嫌じゃないんだろうか。 僕がそのまま、彼女の口を付けた食器を使っても。 彼女はさっきから全く意識していないみたいだけど、僕だって一応健全な男子高校生だ。 そういうの、意識しちゃうし。 どうしたの?と再三に首をかしげて――ああもう、反則だ、その仕種。 そういう表情をされると、こう悶々としていること自体がすごくいやらしいように思えてくる。 今からでも食器を変えてきた方がいいのか。 それでも、霧切さんは意識していないんだから、こだわる方が失礼かもしれない。 いや、でも、その、 「…苗木君。そのままボーっとしているのも私は構わないけれど、そろそろ昼休みが終わるわ」 「あぅ、……、…っと、うん…」 結論。 食堂が閉まる十分前で、彼女に諭されるまで悶々としていた僕は、 結局彼女に質問することも敵わず、次はちゃんと味わおうと心に決めていたハンバーグもろとも、 よく味の分からなくなった親子丼を、木製のレンゲで口に流し込むのだった。 ――――― 「…まあ、三流の恋愛ジュブナイルじゃあるまいし…神聖な学び舎でそんな喜劇、繰り広げないで貰いたいですわね」 「それなんてギャルゲ?ってやつですな。で、苗木誠殿…そのレンゲ、いやさ宝具は、今はどちらに保管を?」 翌日、食堂。 霧切さんとは入る時間がずれたため、今日は山田君とセレスさんの向かいに座っている。 別に昨日あんなことがあったから、意識して食堂に行くのを遅らせたとか、そんなことはない。 「…レンゲなら普通に返却したよ。食堂のものなんだから」 昨日のアレは、一般的に見てどうなのか、と。 第三者の意見を求めて、たまたま彼らが良い所にいたから尋ねてみただけ。 そう、それだけなんだ。僕に罪はない。 「か、返したですとぉ!?理解できん、自ら宝具を放棄して、どうやって聖杯戦争に勝ち残るつもりかぁ!! こ、これが勝者の余裕…ふぉおおリア充爆発くぁwせdrftgyふじこlp;@」 「うるさいですわ」 「ぶぎゅうっ…!!せ、セレス殿ぉおお…ピンヒールはさすがに痛いですぎゃああ…ぎゃああああああ…!!」 僕に罪はない。 罪はないが、今度から『一般的な意見』を求める時は、ちゃんと『一般人』に尋ねるようにしよう。 「…とにかく」 紅茶を啜りながら、セレスさんが話題を戻す。 優雅な所作だ。 隣で真っ青な顔で悲鳴を上げる山田君と、テーブルの下からの肉を抉るような音がなければ、尚いいんだけど。 「殿方の器から遠慮なしに料理を、しかも同じ食器を使い持っていくとは…女子にあるまじき、浅ましき行いですわね」 「…うん、隣にギョーザ定食がなければ、その女子力発言の説得力も五割増しなんだけどね」 「何か言い 黙れビチグソ ましたか?」 「いえ、別に」 セレスさんの副音声から耳を反らし、僕もお茶を飲み干す。 「んー…しかし、やはり苗木殿の考えすぎな気もしますな」 と、ピンヒールから解放されたのか、山田君が会話に戻ってくる。 「ギャルゲではフラグビンビンなイベントですが…特に気にする必要もないかと」 「あら、女子の食事中のマナーに目を配るのは、殿方として当たり前では?」 「む、それはそうかもですが…苗木殿が言っているのはマナー云々ではなく、その、間接キス的なことでしょう」 話展開がまずい方に及びそうだったので、それじゃ、と、僕は二人に礼を言い、早々に食堂を後にした。 とりあえず二つ分かったことは、僕がいちいち気にしすぎだということと、 一般人とは呼びがたい彼らの目から見ても、彼女の昨日のアレは、やっぱりちょっとおかしいということ。 「でも、うーん…なんか、気にせずにはいられないんだよね」 そう独りごちて、僕は午後の授業のため、教室へふらふら戻るのだった。 【続く】
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生徒名簿 > 白川基 >[プリズム]白川基(SSR) ※カードにキラキラエフェクト有、デート不可、ストーリーおよびスチル無しといった特殊カードです。 [プリズム]白川基(SSR) 攻魅力 16380 守魅力 16380 攻M 42147 守M 42147 コスト 20 卒業祝い 40000メン アピール 勇気を出して、勝負してみます……! └全タイプの攻守魅力大UP ストーリー なし 入手方法 愛情度 台詞 ボイス +... [部分編集] カレ自慢アピール 勇気を出して、勝負してみます……! マイページ あ、危ないので離れていてください……! マイページ 今、新しい実験に挑戦しているんです。 マイページ 僕の実験を、見学しに来てくれたんですか? マイページ +... [部分編集] あ、危ないので離れていてください……! 今、新しい実験に挑戦しているんです。 僕の実験を、見学しに来てくれたんですか? [部分編集] 登校 +... [部分編集] 朝 科学雑誌が面白くて、つい夜更かししてしまいました。 今日は授業で実験をするんです。今から楽しみです。 低血圧なので、朝はあまり得意じゃないんです……。 放課後 あなたと一緒に食べるお昼は、いつもより美味しいです。 推理小説って、読んでいるとドキドキしますよね。 す、すみません。また化学の話をしてしまいましたね。 夜 あなたの優しさには僕、いつも救われているんです……。 勉強で疲れたときは、ブドウ糖を食べるといいですよ。 よ、良かったら、また僕とお話ししませんか……っ!? カレ自慢 +... [部分編集] 対決画面 ― ぼ、僕が相手になります……! 告白タイム +... [部分編集] 戦闘中台詞 ― 勝利 ― 敗北 ―
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お勉強なう/makiray 「こんにちわー」 相田マナがナッツハウスにやってきた。店番をしていた夢原のぞみと夏木りんの笑顔が迎える。 「六花、来てますかー?」 「うん、もう上でお勉強中」 「のぞみちゃんとりんちゃんは参加しないの?」 「冗談。 かれんさんと六花ちゃん、エリートコンビのお勉強会だよ」 「横で聞いててもさ、何言ってるか全然わかんないんだよ~」 ふたりのいかにも嫌そうな表情にマナが笑う。 「あたしちょっと参加するね」 「どうぞどうぞ」 マナが階段を上ると、のぞみが、あの会話が理解できるなんてうらやましい、とつぶやいた。 「おっじゃまっしまーす」 「いらっしゃい」 「早かったね」 「うん。お店の手伝いが思ったより早く片付いたんだ」 マナが席につく。かれんは、自分のノートに何か図を書いていた。眼鏡をかけた六花がそれを覗き込んで、ふんふん、と頷いている。 「あ、そこに補助線、引くんですね」 「ちょっと気づきにくいのよね」 「わかりました。ありがとうございます」 六花は早速、問題にとりかかった。かれんも自分の勉強に戻り、マナも教科書を開いた。 数分。 「かれんさん、すいません」 「なに?」 「この問題なんですけど」 また、六花とかれんが顔を寄せて話をする。マナも顔を上げた。 「え、公式、そう使うんですか?!」 「ちょっと引っかけっぽいわね、この問題」 「もう」 口を尖らす六花。 「ほかにも引っかけ問題があるみたい。えっと」 「あーっ。 自分でやります」 かれんにヒントを与えられそうになって、六花は慌てて問題集を隠した。 かれんとマナがくすっと笑った。 さらに十分。 「あの、かれんさん」 「なに?」 「これなんですけど…」 何度も質問していることに気が引けるのか、六花は上目遣いに言った。 「どこがわからないの?」 「どこって言うか、問題文の一行目から」 かれんは問題集を引き寄せて何度か読み返した。 「六花が最初からわからないということは、ひょっとして学校でまだやってないんじゃないの?」 「そうなんですけど」 「じゃぁ、後にした方がいいわ」 「でも、せっかくかれんさんに教わるんだし、少しくらい先まわりしてもいいかなって」 「私の中途半端な説明より、先生にちゃんと教わったほうがいいわ。焦ることないわよ」 「はぁい…」 やがて休憩の時間、話題は進路のことになった。 「マナ、かれんさんは何科が似合うと思う?」 かれんが照れくさそうな顔をした。 「そうですねぇ。 かれんさんが院長をやってる病院だったらあたしも入院したい」 「なんだか、ステップが色々と飛んでるわね」 かれんが笑った。 「その前の話をしてるのよ。 かれんさんくらい頭がよかったら、研究職っていうのもいいんじゃないですか?」 「そうね…私は患者さんのそばにいたいな」 「あ、そうですよね。 …何笑ってるのよ」 六花は、ニコニコしながら話を聞いているマナを不思議そうに見ていた。 「なんでもなーい」 「六花は、決めてる科はあるの?」 かれんが尋ねると、六花はその視線をかれんに戻した。 「決めてる、っていうわけじゃないんですけど…大きい病院の救急救命がいいな、って思ったことがあります」 「それは?」 「母のいる病院で見て思ったんですけど。 お医者さんを一番必要としてる患者さんは、救急車で運ばれて来る人かもしれないなって」 「それもそうね。 でも、大変な仕事よ。一刻一秒を争うし、必要な知識の量も違うし」 「そうなんですよね。 かれんさんクラスじゃないと無理かなぁ」 「私は、小児科だと思ってたこともある」 「本当ですか? 母も小児科なんです」 「じゃぁ、聞いたことはない? 今、色々な病院で小児科って減ってるんですってね」 「はい。母が言ってました」 「小さな子供相手で診察に時間がかかるから、たくさんの患者を診ることができなくて、採算が取れないっていうことらしいんだけど…だから逆に、小児科医を必要としてる子供は多いのかなって思う」 「かれんさん、学校の勉強だけじゃなくて、そういう本も読んだりしてるんですね」 「少しずつね。 六花も読んでみる? 今度、何冊か持ってこようか」 「え…あ、でも悪いので、私取りに行きます。 っていうか、遊びに行っていいですか?」 「歓迎するわ」 「ありがとうございます! …。 何よ」 マナはまだニコニコと笑っていた 「何笑ってるのよ、さっきから」 「六花が可愛いなぁ、と思って」 「…。 え?」 「かれんさんに甘えてる六花、可愛い」 「あ…あま…!?」 六花が突然、立ち上がる。鉛筆がテーブルから落ちた。 「な…なに言ってるのよ!」 真っ赤になっている六花。 「それじゃあたしが かれんさんの勉強の邪魔してるみたいじゃない!!」 「そんなことは言ってないよ」 「私もそんな風には思ってないわ」 かれんが言うと、マナは「ですよね」とまた笑った。 「六花と私は、お医者様になるっていう同じ夢を持ってるんだし、こうやって一緒に勉強したり、将来の話をしたりするのは楽しいもの」 「ごめんなさい!」 六花が頭を下げる。 「勉強してても、六花の質問はわかりやすいし、鋭いこともあるから私も勉強になるわ。そのうち、追い越されちゃうかも」 「そんなことはありません! かれんさんはすごい先輩だし、あたしの目標だし、追い越すなんてとても―― いつまで笑ってるのよ!」 「えー、いいじゃん、可愛いんだからぁ」 「もう、知らない!」 かれんも、マナもずっと笑っている。真っ赤になったまま収まらない六花は、すとんと座り込んだ。 その声にのぞみとりんが上がってくる。六花は机に突っ伏してしまっているが、かれんもマナも慌てている様子がないので、何が起こっているのかわからない。 「ねぇ、六花ちゃんの耳、真っ赤じゃない?」 「何があったんですか?」 かれんが、「ちょっとね」と笑う。 マナが六花の頭をなでると、六花は突っ伏したままその腕を振り払った。 「可愛い六花ちゃぁん、そんなに怒らないでよー」 「うるさい!」
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名称 ステータス 戦力 売却価格 スキル 攻(初期) 防(初期) 攻MAX 防MAX アークデーモン 3030 2230 7570 5570 21 11050 全属性の防 中ダウン ヴァンパイアロード 2510 2950 6240 7420 22 11100 人属性の攻 大ダウン スケルトンロード 2560 3520 6400 8790 25 11250 神属性の攻 大ダウン レイス 2830 2840 7070 7110 23 11150 魔属性の防 大アップ ミノタウロス 2900 2360 7340 5800 21 11050 全属性の防 大ダウン アークドラゴン 3130 2540 8200 5980 23 11150 神属性の防 大ダウン デルピュネー 2980 3090 7460 7730 25 11150 全属性の攻 大ダウン ナイトメア 2980 2480 7320 6340 22 11100 魔属性の攻 大アップ 犬神 2670 2580 6630 6500 21 11050 魔属性の攻/防 大アップ バラウール 3730 2540 9320 6360 26 11300 魔属性の防 大ダウン ネコマタ 3460 2620 8650 6540 25 11250 人属性の防 大ダウン カミューリア 3010 2580 7530 6462 18 10900 魔属性の攻 大アップ ペイシノエー 2430 2240 18 10900 人属性の防 大ダウン キマイラ 2590 3290 6460 8230 24 11200 魔属性の攻 大ダウン ミスリルゴーレム 2850 2820 7120 7060 23 11150 防壁へのダメージ 大アップ ドラウドエルフ 3680 2390 9210 5980 25 11250 神属性の攻 大アップ パンプキンリリム 1930 1680 4820 4190 13 10650 神属性の防 中ダウン サイクロプス 2610 2250 6540 5630 19 10950 巨人族へのダメージ 中アップ / 大型ボスへのダメージ 小アップ ゴーストライダー 2180 1870 5280 4850 15 10750 魔属性の攻 中アップ ムシュフシュ 3370 2900 26 魔属性の攻/防 大アップ ワイト 2540 1930 17 魔属性の攻 中アップ ブラッディミストレス 2590 3490 6470 8720 25 11250 全属性の防 大アップ ヴリトラ 2730 3500 21 魔属性の防 大アップ ラーフ 2620 3050 23 11150 人属性の攻/防 大ダウン バードマン・ガルーダ 2500 3170 6250 7930 23 11150 神属性の攻 大ダウン アンネローゼ 3530 2740 26 11300 全属性の防 大ダウン ウィッチ・コマンド 3200 2880 8000 7190 25 11250 勝利時に獲得聖戦pt 大アップ サンタクロプス 2260 1800 5640 4490 15 10750 全属性の防 大ダウン サンタサキュバス 1770 1830 4430 4580 13 10650 神属性の攻 中ダウン ライラプス 3170 2500 7920 6260 23 11150 魔属性の防 大ダウン ドラゴニュートプリンセス 3450 2620 8630 6560 25 11250 全属性の攻 大アップ バニーリリム・リミル 3320 3330 8300 8330 28 11400 魔属性の防 大アップ インフェルノ 3250 2630 8120 6570 24 ? 氷神族へのダメージ 大アップ / 大型ボスへのダメージ 中アップ ワイルドキャット 1700 2350 4260 5870 15 10750 人属性の攻 中ダウン バレンタインリリム 3480 2600 8700 6490 25 11250 全属性の防 大ダウン デビルフラワー 3490 2780 8720 6960 26 全属性の攻 大アップ フローレンストレント 2230 3020 26 人属性の攻 大ダウン ダークエルフ・フォーレ 1780 2480 16 魔属性の防 中アップ アラクネメイジ 3670 2600 26 神属性の防 大ダウン ゾンビライダー 2830 2430 6850 6290 21 11050 全属性の攻 中アップ スキュラ 2810 1870 5750 4670 24 11200 人属性の攻/防 大ダウン デモンズナイト 3120 2350 7790 2350 22 人・魔属性の攻 大アップ マルシュアス 2890 3380 26 神・魔属性の防 大アップ トリッキーインプ 3460 2810 8660 7020 26 人・魔属性の攻 大アップ マッドハッター 3370 2900 26 神・魔属性の攻 大アップ セクシーウィッチ 2810 3460 26 全属性の攻 大ダウン サーペントロード 2800 3470 7000 8680 26 魔属性の防 大アップ スコル 3580 2690 8960 6720 26 人・神属性の防 大ダウン アークスパルトイ 3180 3090 26 人属性の攻/防 大ダウン ダーティ・イヴリシア 1800 1360 xxxxx xxxxx 12 10600 全属性の攻/防 中ダウン サイレント・オーキス 1670 2090 xxxxx xxxxx 13 10600 魔属性攻/防 大アップ アローサル・アシュタリア 1920 1340 xxxxx xxxxx 13 10600 魔属性の攻 中アップ プリズナー・ルシエラ 2120 1380 xxxxx xxxxx 13 10600 全属性の攻 大アップ コメント 名前 コメント
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名称 ステータス 戦力 売却価格 スキル 攻(初期) 防(初期) 攻MAX 防MAX アークデーモン 3030 2230 7570 5570 21 11050 全属性の防 中ダウン ヴァンパイアロード 2510 2950 6240 7420 22 11100 人属性の攻 大ダウン スケルトンロード 2560 3520 6400 8790 25 11250 神属性の攻 大ダウン レイス 2830 2840 7070 7110 23 11150 魔属性の防 大アップ ミノタウロス 2900 2360 7340 5800 21 11050 全属性の防 大ダウン アークドラゴン 3130 2540 8200 5980 23 11150 神属性の防 大ダウン デルピュネー 2980 3090 7460 7730 25 11150 全属性の攻 大ダウン ナイトメア 2980 2480 7320 6340 22 11100 魔属性の攻 大アップ 犬神 2670 2580 6630 6500 21 11050 魔属性の攻/防 大アップ バラウール 3730 2540 9320 6360 26 11300 魔属性の防 大ダウン ネコマタ 3460 2620 8650 6540 25 11250 人属性の防 大ダウン カミューリア 3010 2580 7530 6462 18 10900 魔属性の攻 大アップ ペイシノエー 2430 2240 18 10900 人属性の防 大ダウン キマイラ 2590 3290 6460 8230 24 11200 魔属性の攻 大ダウン ミスリルゴーレム 2850 2820 7120 7060 23 11150 防壁へのダメージ 大アップ ドラウドエルフ 3680 2390 9210 5980 25 11250 神属性の攻 大アップ パンプキンリリム 1930 1680 4820 4190 13 10650 神属性の防 中ダウン サイクロプス 2610 2250 6540 5630 19 10950 巨人族へのダメージ 中アップ / 大型ボスへのダメージ 小アップ ゴーストライダー 2180 1870 5280 4850 15 10750 魔属性の攻 中アップ ムシュフシュ 3370 2900 26 魔属性の攻/防 大アップ ワイト 2540 1930 17 魔属性の攻 中アップ ブラッディミストレス 2590 3490 6470 8720 25 11250 全属性の防 大アップ ヴリトラ 2730 3500 21 魔属性の防 大アップ ラーフ 2620 3050 23 11150 人属性の攻/防 大ダウン バードマン・ガルーダ 2500 3170 6250 7930 23 11150 神属性の攻 大ダウン アンネローゼ 3530 2740 26 11300 全属性の防 大ダウン ウィッチ・コマンド 3200 2880 8000 7190 25 11250 勝利時に獲得聖戦pt 大アップ サンタクロプス 2260 1800 5640 4490 15 10750 全属性の防 大ダウン サンタサキュバス 1770 1830 4430 4580 13 10650 神属性の攻 中ダウン ライラプス 3170 2500 7920 6260 23 11150 魔属性の防 大ダウン ドラゴニュートプリンセス 3450 2620 8630 6560 25 11250 全属性の攻 大アップ バニーリリム・リミル 3320 3330 8300 8330 28 11400 魔属性の防 大アップ インフェルノ 3250 2630 8120 6570 24 ? 氷神族へのダメージ 大アップ / 大型ボスへのダメージ 中アップ ワイルドキャット 1700 2350 4260 5870 15 10750 人属性の攻 中ダウン バレンタインリリム 3480 2600 8700 6490 25 11250 全属性の防 大ダウン デビルフラワー 3490 2780 8720 6960 26 全属性の攻 大アップ フローレンストレント 2230 3020 26 人属性の攻 大ダウン ダークエルフ・フォーレ 1780 2480 16 魔属性の防 中アップ アラクネメイジ 3670 2600 26 神属性の防 大ダウン ゾンビライダー 2830 2430 6850 6290 21 11050 全属性の攻 中アップ スキュラ 2810 1870 5750 4670 24 11200 人属性の攻/防 大ダウン デモンズナイト 3120 2350 7790 2350 22 人・魔属性の攻 大アップ マルシュアス 2890 3380 26 神・魔属性の防 大アップ トリッキーインプ 3460 2810 8660 7020 26 人・魔属性の攻 大アップ マッドハッター 3370 2900 26 神・魔属性の攻 大アップ セクシーウィッチ 2810 3460 26 全属性の攻 大ダウン サーペントロード 2800 3470 7000 8680 26 魔属性の防 大アップ スコル 3580 2690 8960 6720 26 人・神属性の防 大ダウン アークスパルトイ 3180 3090 26 人属性の攻/防 大ダウン ダーティ・イヴリシア 1800 1360 xxxxx xxxxx 12 10600 全属性の攻/防 中ダウン サイレント・オーキス 1670 2090 xxxxx xxxxx 13 10600 魔属性攻/防 大アップ アローサル・アシュタリア 1920 1340 xxxxx xxxxx 13 10600 魔属性の攻 中アップ プリズナー・ルシエラ 2120 1380 xxxxx xxxxx 13 10600 全属性の攻 大アップ コメント 名前 コメント
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それぞれの事情とそれぞれの結末 前編 ◆xXon72.MI. 宮崎都は塚本天馬の死体から離れた後、一条かれん達が入った民家の近くにある民家へ入った。 近くとは言っても、ここは家と家との間が数メートルしか離れていないような住宅地ではなく、 農村とか漁村とかいった言葉が当てはまるような村だ。 一条かれん達のいる家からは、村役場を除けば最も近い民家でも、普通の住宅地で考えれば三軒分ほどの距離がある。 一条かれん達の様子を見張るには少し遠い気もしたが、他の家だとこの家よりも さらに離れた所になってしまうし、一条かれん達のいる家に最も近い村役場は、 建物自体が目立つので、中に潜むのに向いているとは思えなかった。 それに、離れているのも悪い事ばかりではない。 遠ければ、それだけ相手の様子は分かりにくくなるが、 もし、こちらが物音などを立ててしまったとしても、気付かれる危険は減る。 都には、自分の身体に付いた返り血を洗い流したり、多すぎる荷物を整理したりと監視以外にもやりたいことがあるのだ。 そんな考えから都が選んだ木造の二階建ての民家は、南側に大きな縁側があり、出入り口は引き戸で、庭には井戸があるような、全体的に造りの古い家だった。 玄関の鍵は開いており、難なく家の中に入ることはできたが、都は最初、この家に先客がいるのかも知れないと思って警戒した。 (いや、もし家の中に隠れるなら、鍵くらい閉めておくわよね) そう考えると、この家の戸はたまたま開いていた可能性の方が高いように思えた。 とはいえ、誰かがこの家の中にいる可能性もゼロではないだろう。 (一応、調べてみるか) 都は家の中に入り、ここまで運んで来た重たい荷物を下ろすと、銃を構えて玄関に近い部屋から順番に家の中を見て回った。 客間、居間、台所、寝室、浴室、トイレ……、特に人影は見当たらないし、さっきまで人がいたような様子も無い。 「ん?」 そうして都が家の中を調べていると、家の外からかすかに男の叫び声が聞こえた気がした。 「……何?」 今、人の声が上がるとしたら、一条かれん達のいる家からだろう。 そう思った都は、声の正体を確かめるべく、かれん達が居る家が見える部屋まで行き、 窓からそちら側の様子を見てみたが、この窓からは目的の家は見えても、 その家の中で何が行われているのかまでは分からなかった。 (やっぱ、見張るには遠すぎたか?……まぁ、近くても家の中は見えないか) たとえもっと目的の家に近くても、家の中の様子までは分からないだろう。 そう思った都は、とりあえず中の見えない家を眺めることをやめ、今、自分がいる家の中の探索に戻ることにした。 探索のついでに、都は電気ストーブをつけようと試みたり、水道の蛇口をひねってみたりしたが、どちらも使えなかった。 どうやら、電気と水道は止まっているようだ。 (水道が使えないのか……、身体、洗いたいんだけどな) 全ての部屋を慎重に調べ終え、この家の中には誰もいないことを確認した都は、 次に、身体に付いた返り血を洗い流すことを考えた。 最初は、この家にある浴室を使わせてもらうつもりだったのだが、浴室の水道も使えなかったので、それはできない。 (そういえば、外に井戸があったな……) そこで都は、この家に入る前に横目で眺めた井戸のことを思い出した。 井戸を見つけたその時は、使おうだなんて思いもしなかったが、 水道が使えないと分かった今では、事情が違う。 そこで、都は外に出て、まずは井戸が使えるかどうか確認することにした。 それは、つるべ式のいかにも古そうな雰囲気の井戸だったが、中は枯れておらず、底にはちゃんと水が溜まっている。 試しに都は、一度水を汲み上げて、使える水かどうかじっくりと観察してみた。 (うーん、キレイだと思うけど……) つるべに括りつけられたバケツの中に汲み上げられた水は、特に濁っていたりはせず、少なくとも都の目には綺麗に見えた。 (変なにおいもしないし、まあ、身体を洗うくらいには使えるか) 飲めるほど綺麗な水なのかどうかは分からなかったが、身体を洗うのには問題ないだろうと、都はそう判断した。 飲み水ならば、ここまで運んできたデイバッグに水の入ったペットボトルが大量に入っている。 都、播磨、沢近、世界の4人分。都自身よくここまで運んで来たなと思うほどの量だ。 なので、この井戸の水を飲む必要はない。 (よし!) この水で身体を洗うことにした都は、そのための準備に取り掛かることにした。 □ □ □ 阪東秀人が加東秀吉との喧嘩を終わらせ、美浜ちよ、一条かれん、赤坂理子の三人が いる部屋に戻った時、三人はそれぞれがこの島で目覚めてから、今までの経緯を教え合い、 さらにかれんと理子は、自分たちが目指すプログラム終了条件を、ちよに話したところだった。 「あ、阪東さん」 「ん?もう目ぇ覚めたのか」 阪東の姿を見るや、ちよはとててっと坂東の傍に寄って行った。 どうやら、ちよは島で最初に出会ったこの男に、だいぶ懐いてしまったようだ。 それはちよ自身、自覚はしていないだろうが、今回のプログラム参加者の中で最年長である 阪東の側が最も安心できると、この数時間で直観的に感じ取ったからかもしれない。 「あぅ、阪東さん……、痛そうです」 先ほどの秀吉との喧嘩で、阪東の顔にはいくつもの痣や腫れができていた。 阪東達の鈴蘭高校では日常茶飯事なことだが、ちよの今までの生活では、 こんな怪我にお目にかかることは、そうそうない。 「フン、こんなもん何でもねー」 「でも……」 そう返す阪東だったが、ちよは涙目で坂東を見つめ、相変わらず心配そうな顔をしている。 「あらら、まずは話がしたかったけど、その前に手当てをした方が良さそーネ」 そんな阪東とちよの様子を見ていた理子は、ちよ達に歩み寄ると、 ポンッとちよの頭に手を乗せて微笑みかけながらそう言った。 「エート、それで阪東サン、カトーくんは?」 「あの小犬なら、向こうでおネンネだ」 あの騒ぎの後、阪東だけが戻ってきたということは、そういうことだ。 「どーせ、カトーくんも怪我してるのよね?」 阪東は無言だったが、これは肯定と見ていいだろう。 それを見て、理子は一つため息をついた。 「ふぅ、いいわ、確か村役場に救急箱があったから、チョット取って来るわね」 理子は村役場でかれんを待っている間に、暇だったので村役場の中をいろいろ調べて回り、 救急箱など、備品の場所を確認おいた。 この民家にも、探せば救急箱くらいあるかも知れないが、既に有りかが分かっている所から 持ってきた方が確実だろう。 考えてみれば、こちらの民家に移る時に救急箱くらい持ってくればよかったのだが、 あの時にはメモを残したりしていて、忘れていたのだから仕方がない。 「あ、それじゃあ私も行きます」 そう言って立ち上がったのは、阪東が戻ってきてから今まで黙っていたかれんだ。 「え?」 救急箱を取ってくるくらいで、そんなに人手も要らないだろうと思った理子が聞き返すと、 かれんは少しうつむきながら続けた。 「あの、塚本さんを……」 「あ……」 その一言で、理子は大体の察しがついていたが、一応詳しく聞いてみることにした。 かれんは、天満の事を野晒しにならないようにと、この民家の前まで背負ってきたわけだが、 知らない人の家に死体を上げるのも何だか気が引けて、今は玄関先に座らせている。 だが、いつまでもそのままというわけにはいかないので、村役場に天満を運んで寝かせてあげたいらしい。 公共の施設ならば、知らない人の家よりもかれんの気が楽ということだ。 「そうね、だったら一緒に行きましょ。アタシも手伝うわ」 「あ、はい、ありがとうございます」 「それじゃあ、ちよちゃん、阪東サン、チョット待ってて」 元々は村役場が集合場所だったのだから、全員でそちらに戻ってもよかったが、 秀吉が気絶したままなので、今はどちらにしても救急箱を持って来るのがいいだろう。 こうして、理子とかれんは二人でドアから出て行き、部屋には阪東とちよが残された。 「オイ、ちよ」 「はい?」 二人が出て行ってから、阪東はちよに声をかけた。 自分がいない間、ちよが理子達と何を話していたのか確認しておこうと思ったのだ。 「アイツ等とは……、何ニヤニヤしてんだ?」 しかし、そこでなぜか笑顔になったちよが気になり、阪東はついそんな事を訊いてしまった。 「えへへ、ごめんなさーい。 阪東さんが、名前で呼んでくれるようになったのがうれしくてー」 「あぁ?」 確かに、出会ってからしばらくの間、阪東はちよの事を「お前」としか呼んでいなかったが、 いつの間にか、普通に名前で呼ぶようになっていた。 「そんなことで、か?」 「はい!」 思わず聞き返した阪東にちよは笑顔で答えると、また「えへへ」と笑った。 「…………チッ」 思わず出た阪東の舌打ちは、ちよの笑い声でかき消された。 (さっきまで、涙目だったクセに) だが、プログラムという絶望的な状況の中でも、こうした小さい事を見つけて笑えるのは、 ある種の才能であり、強みかもしれない。 この小さな子供も、かれんや理子のような強さとは違うが、ただ弱いだけ人間ではないようだ。 笑顔のちよを見て、阪東はそんな風に思った。 □ □ □ 「……あれ?」 「かれんちゃん?どうしたの?」 かれんと理子の二人が、天満を運ぶために民家の外へ出て天満の死体を見たその時、 かれんが不思議そうな声を上げた。 「塚本さんのリボンが無いんです……」 そう言って、かれんは自分の制服のリボンを指さしながら「こういうリボンを付けていたはずなんでけど……」と続けた。 「どこかで落しちゃったのかな?ここに来たときは塚本さんのリボン、ありましたっけ?」 「うーん、チョット覚えてないわ」 かれんも理子も、天満がここに運ばれたときにリボンをつけた状態だったかは、覚えていなかった。 天満のリボンがいつ無くなったのかは分からなかったが、しかしだからと言って、このままずっと止まっている訳にもいかない。 無いものは仕方がないと諦め、かれんは、外に出る前にあらかじめ濡らしておいた ハンカチを取り出し、天満自身が吐いた血で汚れてしまっていた天満の口元を拭いた。 「塚本さん、今まで待たせてしまって、ごめんなさい」 「…………」 もちろん、天満は答えない。 理子は、かれんに何か言葉をかけようと思ったが、 その前に、かれんの方が理子に向き直った。 「さあ、理子さん。塚本さんを運びましょう」 「え、ええ、そーね」 そうして、かれんと理子は二人掛かりで天満を村役場に運び込むと、とりあえず待合室の長椅子に寝かせた。 「ふぅ…、えっと、運んで来たのはいいですけど、どこに寝かせてあげましょう? ここでは、いくらなんでも……」 「そうね、向こうの応接室に大きなソファがあったから、そこに寝かせてあげましょ」 かれんのいない間に、村役場の間取りをほとんど覚えていた理子の提案で、 二人は天満を応接室まで運び、そこにあった大きなソファに天満を寝かせた。 その後、かれんはここまで運ぶ間に少し乱れてしまった天満の身なりを整え始め、 一方、理子はもう一つの用事を済ませるべく応接室を出ることにした。 「それじゃ、アタシは救急箱を取って来るわネ。すぐだから、少し待ってて」 「はい」 本当は、理子もこのまましばらくかれんのそばに居てあげたいところだったが、 民家に残してきた怪我人どものことを、放っておくわけにもいかない。 「……」 そうして部屋に残されたかれんは、理子が戻ってくるまでの間、 ずっと天満の顔を見て過ごした。 生前、天満はいつでも、居眠りしている時でさえ表情豊かで、 かれんは天満のこんな無表情な顔を今まで見たことが無かった。 そんな天満が、もう二度と表情を変えることはないのだと思うと、 もう散々泣いたかれんだが、再び胸にこみ上げて来るものがある。 「……塚本さん」 天満には、いつも一緒に行動する仲良しグループがあり、 かれんはそのグループの一員というわけでは無かったが、 それでも、例えばかれんが同じクラスの今鳥恭介と初めてデートをした時などは、 何かと世話を焼いてくれるなど接点は多く、親友とまではいかないまでも、 かれんと天満は十分に仲の良い友達だった。 そんな友達の死を、そう簡単に受け入れることはできない。 「お待たせ、かれんちゃん」 理子は自分で言った通り、救急箱を持ってすぐに応接室に戻って来た。 「あ、理子さん……」 そんな理子が目にしたのは、天満の横で泣きそうな表情をしているかれんだった。 (かれんちゃん……) そんなかれんの表情を見た理子は、持ってきた救急箱を足元に置くと、 そっとかれんの横に座った。 「かれんちゃん、まだツライ?」 「……いえ、大丈夫です」 そう答えたかれんだったが、心配をかけまいと無理をしているのは明白だ。 理子は、そんなかれんの肩に手をかけると、自分の方へ引き寄せた。 「無理しないで、ツライときはツライって言って。こんな時だもの、助け合いましょ」 理子は天満を運んでいるとき、もしこれが良クン、田村良だったらと想像していた。 放送で彼の名前を聞いただけでは、まだあまり実感が持てずにいるが、 こんな風に死体に触れることになったら、自分はどうなってしまうだろうか? きっと後先考えず、周りも気にせずに泣いてしまうのではないか? もちろん、かれんと天満の関係は、理子と良の関係とは違ったものだろうが、 しかし、友達を失った悲しみがそれほど違うとは思えない。 だからなのか、理子には今のかれんの気持ちが何となくわかる気がした。 「理子さん……」 理子に抱き寄せられ、少しキョトンとしていたかれんだったが、 理子の鼓動と体温を感じ取ると目を閉じ、どこか安心したような表情になって、 そのまま理子の方へ体を預けた。 「ヨシヨシ」 理子は、そんなかれんの頭を撫でながら、かれんの気が済むまでそうしていようと思った。 「…………はぁ、もう大丈夫です」 かれんは意外に早く立ち直ると、少し恥ずかしそうにしながら理子から離れた。 「もう、イイの?」 そう言った理子だが、かれんの様子は確かに理子から見てもだいぶ落ち着いて見えた。 目つきはしっかりとしているし、呼吸も、姿勢も、立ち振る舞いも、理子がはじめに出会ったときに感じた強さが戻っているように思える。 「はい、早く皆さんのところへ戻りましょう」 「うん、でも苦しいときは言って。アタシの胸くらい、いつでも貸すから」 「あ……はい!」 こうして、二人は阪東達の待つ民家へと戻るため、応接室を出た。 部屋を出る時、かれんは最後にもう一度だけ振り返り。 ソファに寝かせた天満に、心の中でお別れを言った。 民家に戻ると、理子は阪東達のいる部屋に勢いよく入っていった。 「ホラ、救急箱持ってきたわよ。サッサと手当てしちゃいましょ」 「チッ、しょーがねーな。よこせよ、自分でやる」 「いーからアタシに任せて。こーゆーの、慣れてるから」 戻って来た理子に向かって、阪東はいかにも面倒くさそうな表情を浮かべながらも、 救急箱を受け取るべく手を出した。 しかし、道場の練習生が怪我をした時など、他人の手当てをする機会の多かった理子は、 自分がやった方が早いと、半ば強引に阪東の手当てをし始めた。 最初は自分でやると抵抗した阪東だったが、ちよやかれんにも勧められ、 結局、最後は阪東の方が折れた。 (クソッ、調子が狂う……いや、オレが年食ったのか……) 今まで、阪東の周りには、こんなに強引な女はいなかった。 しかし、狂犬だったころの阪東であれば、いくら相手が強引でも、 自分の方が折れるということは無かっただろう。 そう考えると、自分の年を感じてしまう阪東だった。 「それで、阪東サンに聞きたいんだけど……」 阪東がそんなことを考えていると、理子が手当てをしながら話しかけてきた。 「まずは自己紹介からかしら?」 「いや、大体ちよから聞いた」 阪東は、理子とかれんがいない間にちよと話し、理子とかれん、ついでに秀吉に関して、 ちよがわかる範囲の事をほとんど聞き出していた。 そういう事ならと、理子は自己紹介を軽めに済ませ、本題に入っていった。 「それで、阪東サン達がかれんちゃんと別れた後、そっちでは何があったの?」 まず理子が何があったか尋ねると、坂東は「ちよにどこまで聞いた?」と返した。 「えっと……ヨシ!完成!」 しかし、理子の口から発せられたのは、坂東への返答ではなく、手当て完了の掛け声だった。 この赤坂理子という女、なかなかマイペースな性格のようだ。 「これで大丈夫だと思うけど、あんまり激しく動いちゃダメよ」 「…………」 「私たちがちよちゃんから聞いたのは、 銃声のした方へ行くと地面に血が……というところまでです」 そんな調子の理子に代わり、阪東の質問には手当ての手伝いをしていたかれんが答えた。 「あら、ゴメンナサイ。そうそう、そこまで聞いたワ」 「ああ」 それを聞いて、阪東はそこで見た光景を思い出すと、理子とかれんにそこであったことを話すべく口を開いた。 「そこにあったのは……死体だ」 「そんな……」 「……そう」 理子もかれんも、ちよの話を聞いたときから予想はしていたが、 直にその言葉を耳にすると、やはりショックだった。 かれんは息をのみ、理子は残念そうに肩を落とした。 「黒い制服の、女の死体だったな……で、その死体なんだが」 「ひっ……あ……」 「ちよちゃん?」 阪東がその死体の事を詳しく語ろうとしたとき、かれんはちよの様子がおかしい事に気付いた。 「あ、そうだ理子さん。救急箱貸して下さい。私、加東くんの手当てをしておきます。 ねぇ、ちよちゃんも手伝ってくれないかな?」 「そーね、それがいいわ」 考えてみれば、ちよはそのときのことが原因で気絶したのだ。 彼女にとってトラウマになっているかもしれない事を、本人の目の前で話すことはない。 かれんは、秀吉の手当てを口実にちよを隣の部屋へ連れて行くことにし、 理子もそれに賛成した。 「すいません…、そうします」 「うん、それじゃあ行こう」 そうして、阪東の話は理子が聞いておくことにして、かれんとちよは救急箱を持って、秀吉のいるリビングへ移った。 「ごめんなさい阪東サン、それで……その死体っていうのは?」 「ああ」 そして部屋に残った理子に促され、阪東はその場所で見た、思い出すだけでも気分が悪くなる惨状について、詳しく語ったのだった。 「……そんなことって」 話の雰囲気やちよの様子から、それがただの死体ではなかったのだろうということは 理子も予想していたが、どうやらその死体の様子は理子の想像以上だったようだ。 「ところで…だ」 阪東は、そんな理子の様子をあえて無視し、話を先に進めた。 元々阪東は相手を気づかうようなタイプでも無いし、ここまで話をしてみて、 この女なら、多少のショックは引きずらないだろうと思った。 「お前ら、時間切れ狙ってんだってな?24時間死人が出ないってのを」 「え、ええ……」 「だったら、まずアレをやったヤツをどうにかしねーとダメだな。 でねーとこの先、死人は増える一方だろうよ」 □ □ □ 一方、阪東達の間で話題のアレをやったヤツこと宮崎都は、かれん達を監視するために選んだ民家の浴室で身体を洗っていた。 水道が使えなかったので、使っている水は先ほどの井戸の水だ。 外は日が当っているとはいえ、少し風もあって寒いし、万が一、 身体を洗っているところを誰かに襲われたらと考えると、外で身体を洗うのは、 非常に危険な事に思え、わざわざ井戸で汲んだ水を浴室まで運んで使っている。 井戸の水を、この家にあったバケツや桶に入れて浴室に運ぶ作業はかなりの重労働だったが、 都も、伊達に剣道部に入ってから走り込みをしたり、立てなくなるまで素振りさせられたりしていたわけではない。 そのくらいの事ができる体力はついていた。 (そういえば、あたし、全然監視できてないな) この家を選んだのは、身体を洗ったり、荷物を整理したりするほかに、 一条かれん達を監視するためでもあったわけだが、この浴室からは向こうの様子は見えないし、 その前も家の中を確認したりしていて、都はかれん達がいる家から目を放しっぱなしだ。 (やっぱり、直接乗り込まないと駄目ね) 他校の生徒と合流しているところを見ると、一条かれん達は殺し合いに乗っているとは 思えないし、無害を装って近づけば、恐らく受け入れてくれるだろう。 ザバァ 都はそこまで考えると、冷水を一気に身体へ浴びせた。 井戸から汲んで来た水は、興奮状態で火照っていた都の身体を冷まし、 同時に、高ぶっていた気持ちを落ち着かせてくれる。 (ふぅ……) そうして落ち着きを取り戻していった都は、この島で目覚めてから今までに体験したことを順番に思い返していった。 まず、はじめに思い出すのは最初に出会った男、播磨拳児のことだ。 彼は、都が初めてその手で命を奪った人間でもある。 好きな子の事だけを想い、それ故に冷静さを失って空回りし、 最期はあっけなく崖下へと落ちて行った。 播磨を殺したことで、都はもう人を殺す事に対する迷いは無くなったと思った。 しかし、その次に出会った沢近愛理と西園寺世界の二人組のうち、 沢近愛理に銃を突きつけた瞬間、都は引き金を引くのを一瞬躊躇してしまった。 都が播磨を殺したときは、ただ崖から突き落としただけで、 実際に、生きた人間が死体に変わるその瞬間を見届けたわけではない。 この時点の都は、まだ覚悟が十分ではなかったのだ。 結局、それだけが原因ではなかったが、沢近愛理には逃げられてしまった。 今後も同じような事があるようでは、きっと優勝なんてできっこない。 そう思った都は、逃げ遅れていた西園寺世界を徹底的に嬲り殺しにした。 元々Sっ気のある都だが、何も好きで西園寺世界をそんな風に殺したわけではない。 今後、同じような事があっても、もう二度と人を殺すことを躊躇しないように、 人の命が消え行く様を実感しながら殺したのだ。 もしかしたら、多少は趣味もあったかも知れないが……。 (おかげで、次は迷わず人が殺せそうよ) そして、完全に覚悟を決めた後に見つけた男女の4人組みだ。 その内の二人は、播磨拳児や沢近愛理と同じ矢神学院高校の一条かれんと塚本天馬だった。 その時は分からなかったが、塚本天馬はどうやら、この時点で死んでいたようだ。 少し様子を伺っていると、その4人(死体を人数に数えなければ3人)は二手に分かれ、 都は播磨や沢近と同じ学校の天満とかれんが気になって、そちらを尾行した。 途中で放送が流れたが、一条かれんはその間も歩き続けていたため、 都も禁止エリア以外は特にメモせず、後を追った。 都にとっては、彼氏の段十朗を含め室江の仲間が無事だった事が分かれば、 このときは禁止エリア以外、特に興味が無かったのだ。 一条かれんは待ち合わせをしていたらしく、村役場近くの民家で仲間が待っていた。 そしてかれんは、その仲間達と合流して民家へ入って行き、都はその民家を監視するためにこの家に来たというわけだ。 全然監視できていないのが現状だが。 (そういえば、もう10人死んでるんだな……) この島での自分の行動を振り返った後、都は放送の内容で気になったことを思い返した。 半分くらいは聞き流していた放送だったが、今までに10人の死者が出ているという点は少し気になる。 その10人の内、都が分かっているのは自分が殺した播磨拳児、西園寺世界の2人と、 自分が見つけた時には既に死んでいた塚本天馬の計3人だ。 塚本天馬の死因は、後であの集団に接触したときに聞くとして、10人の内の残り7人は、 そのすべてが自殺や、誰かひとりの殺害数などということはないだろう。 すると、都以外にも殺し合いに乗ったものが、恐らく複数いるということになる。 (早くダンくんを見つけないと……) 最初の放送では名前の呼ばれなかった彼も、この先ずっと無事とは限らない。 殺し合いに乗る者がどれだけいるのか分からなかった放送前よりも、 自分以外に、殺し合いに乗った者がいるということがハッキリした今の方が、 早く彼氏の段十朗を見つけたいという気持ちは、大きくなっていた。 都にとっての最優先事項は、『段十朗と一緒に生きて帰る』ことなのだから。 (よし、キレイになった) 身体を洗い終えた都は浴室を出ると、あらかじめ灯油ストーブを準備しておいた部屋に入り、 ストーブにあたって、冷水で冷えた体を温めた。 (あー、寒かった。やっぱ冬に水で身体洗うとか無いわ……) すっかり冷えてしまっていた身体が温まっていくのを感じ、都は生き返る心地だった。 (あ、着替え着替え) そうして人心地ついた都は、次に着替えを考えた。 今の都は、この家にあったバスタオル1枚という格好だ。 幸いこの家には、歳は都よりもずいぶん上だろうが、体格は都と大体同じくらいの 女性が住んでいたらしく、都は着られそうなサイズの女物の服をいくつも見つけていた。 (うーん、何を着よう?) まずは、改めて今まで着ていた室江高校の制服を確認してみる。 ブレザーやブラウス、リボンなどの上半身に着ていたものは、どれも血塗れで、 とても着られそうにない。 反面、下半身に着けていたスカートやソックスは、大した汚れも無く綺麗なものだ。 これなら、引き続き着ていても問題はないだろう。 (じゃあ……、これと、これかな) そうして都は、この家で見つけた服の中で、今まで着ていた制服のブラウスとそう違わない白のブラウスを着て、制服のスカートをはいた。 そして最後に、同じくこの家で見つけた女物のダウンジャケット羽織り、着替えは完了だ。 (よし、あとは荷物の整理をしたら……、いよいよね) 都は荷物を整理した後、一条かれん達と接触するつもりだった。 作戦は、先ほど考えた通り。 まずは殺し合いに乗っていない風を装って接触し、そして必要な情報を聞き出した後は、殺す。 それが、都の考えだ。 しかし、それには一つ確認しておくことがある。 既に二人も人を殺めてしまった自分が、今さら無害なフリを出来るだろうか? それを確かめるため、都はその部屋にあった姿見に向かって笑顔を作ってみることにした。 (ダンくんの事を考えれば……) 段十朗との楽しい日々を思い出しながら、また、そんな日々を取り戻すために、 都は鏡に向かって微笑んだ。 「ダンくぅ~ん」 その鏡には都自身も驚いたほどの、とびっきりの笑顔が写っていた。 □ □ □ かれんとちよが、リビングで気絶していた秀吉の手当てを済ませた頃、 一通りの話を終えた阪東と理子も、リビングへとやって来た。 秀吉は、かれん達が手当てをしている間も目を覚まさず、今も眠り続けたままだ。 「どう?カトーくんは」 「はい、まだ起きないですけど……ちよちゃんも手伝ってくれて手当ては終わりました」 「そう、エライわ、ちよちゃん」 「いえ、私にはこのくらいしか出来ませんから…」 女子三人がそんなやり取りをしていると、阪東が「オイ」と、かれんに声をかけた。 「オメーが持ってた銃、弾はあんだろ?いつでも撃てるようにしておけよ」 「え?」 「チョット!いきなり言われても分からないわヨ」 何の説明も無しにそんなことを言いだした阪東をたしなめながら、理子は軽く阪東を睨んだ。 「それに、決めるのはかれんちゃんだから!」 「フン」 「それじゃ、アタシが説明するから……かれんちゃん、こっちに来て」 「あ、はい」 理子は、ちよの方をチラッと見るとかれんの手を引いて部屋を出て行った。 そうして、阪東とちよは二人、いや、気絶中の秀吉を含めると三人でリビングに残された。 「あのー、阪東さん、どうしてあんなことを?」 理子達が出て行くなり、ちよは阪東に尋ねた。 あんなことというのは、銃の事だろう。 「殺し合いに乗ったヤツが、近くにいるかもしれねーんだ」 阪東は心の中で、(相当やばいヤツがな)と付け加え、「しかも、そいつは銃を持ってやがる」と、続けた。 「そう、ですか……」 「ああ」 それっきり黙ってしまったちよに、今度は阪東から話を振った。 「アイツ等の言ってた事だがな……」 「え?」 「時間切れなら、首輪が爆発しないってのは、あると思うか?」 「えっと……」 阪東は、その話を聞いたときから、そんなことはまずあり得ないだろうと考えていた。 その考えに、阪東はほとんど確信を持っているのだが、軍はそんなに甘くないだろうとか、 そういった、ある種勘のような考えでしかなく、その理由がハッキリしない。 そこで、ちよならば違った視点から、この事に関して答えを出せるのではと思ったのだ。 「それは…無いと思います」 少し残念そうに、だがしっかりとちよは自分の意見を述べた。 「なんでそう思う?」 「プログラムは……軍が行う戦闘シミュレーションと言う事になっていますけど、多分、他の目的もあると思うんです」 「どういうことだ?」 ちよは飛び級で高校に入学するほど学業において優秀であり、社会科の成績も良い。 そんな彼女は、当然プログラムに関する知識も一通り頭に入っており、 それを元に、表向きは国防上必要な戦闘シミュレーションという事になっているプログラムの、 別の狙いを考察することもできる。 「例えば…恐怖政治です。えっと、この国で政府に反対することは命がけですよね」 「ああ」 「しかも、本気で政府に反対しようとしたら、たくさんの人が団結しないといけません」 「だろうな」 ちよの言っている事は分かるが、それがプログラムの時間切れにどう繋がるのか分からない阪東は、適当に相槌を打って先を促した。 「それでプログラムですけど…プログラムで優勝者が出たということがニュースで流れたら、それを見た人はどう思うでしょう? 人は命がかかると、子供同士でも殺し合いをするんだなって思うんじゃないでしょうか? 一度そう思ってしまうと、完全には他人を信用できなくなると思うんです。 そうしたら、政府を相手に命がけで一致団結なんて、きっと出来なくなってしまいます」 「ほう」 話が進むにつれて、阪東は少しずつちよの話がつながってきたように感じた。 「もし、そういうことが政府の狙いだとしたら、プログラムではまず、優勝者が出ることが 重要なんです。一条さんたちの言っていた、死の恐怖に負けず、見ず知らずの他人を 信じるっていうのは、たぶん、政府の狙いと逆で…、だから、時間切れでみんなが 助かるとゆーのは、ちょっと……」 「なるほどな」 「優勝者が出なかった場合に失敗としてあつかわれてニュースにならないのは、 最期まで他人を信じてしまった結果ですから、それは政府にとって都合が悪いんです。 だからニュースにならないんだと思います」 ちよの話は阪東には少し回りくどく感じたが、プログラムとは政府が行う恐怖政治の 一環だと考えると、他人同士が殺し合いをするということそのものが重視されるはずで、 それとは逆の生還方法があることは考えづらいということだ。 「お待たせ、ちよちゃん、阪東サン」 「お待たせしました」 「あ、おかえりなさいー」 阪東とちよがそこまで話したところで、阪東達がいるリビングの扉がガチャっと開き、 理子とかれんが戻って来た。 「戻ったか。で、お前らどーする事にしたんだ?」 「そーね、かれんちゃん」 「はい」 理子に促され、かれんは自分の考えを話した。 「事情は分かりました。この近くに危険な人がいるかもしれない。 だから、銃が必要になるかも知れない……」 「そうだ」 「でも……、銃に弾を入れるのは、駄目です。私は…その人も説得したいですから」 「チッ」 どんな相手でも傷つけたくないと言うかれんの言葉に、阪東は思わず舌打ちをした。 (あんな事ができるヤツを説得だと?) 直接あの惨状を見た阪東には、それはあまりにも無茶な理想論に思えた。 しかし、直接死体を見ていないかれん達には、それが分かっていないのかもしれない。 阪東とかれん達には、その死体を作り上げた者に対する考えに、明らかな温度差があった。 「そうかよ」 阪東はそう言うと、自分の荷物だけを持って部屋を出て行こうとした。 「え、待って阪東サン、どこに行くの?」 それを理子が慌てて呼び止めると、阪東は首から上だけ振り返って答えた。 「これからどーするか考える。少し独りにさせろ」 阪東は、かれん達の考えには賛同できない。 しかし、殺し合いに乗らないという点においては、阪東もかれん達も同じだ。 わざわざ敵対関係になることも無いだろう。と、そこまでは考えた。 しかし、その先の考えがまとまらない。この理子という女が側にいると、どうも調子が狂う。 それに、この島のホテルで目覚めてから今まで、ずっとプログラムからの脱出についても考えてはいるが、未だその糸口さえ見つかっていない。 ガラじゃあないとは思うが、一度ゆっくり考えをまとめたかった。 「ついでに、その辺見回って来るつもりだ。一応、他の鈴蘭の連中も探さねーとな」 「でも……」 「心配すんな。次の放送までには戻ってきてやる」 そう言って今度こそ出て行こうとした阪東の、今度はちよが呼び止めた。 「ま、待ってください。あの、私もついて行っていいでしょうか?」 「なに?」 「え、ちよちゃん?」 「危ないわヨ。ここに居た方が……」 同行を申し出たちよに、阪東を含めた3種類の声が答える。 「私も、同じ学校のみんなを探したいですから。 それに阪東さん、言いました。考えるのは私だって」 「……フン、そうだったな。好きにしろ」 かれんと理子は反対したが、一度言い出したちよは頑固に自分の意見を曲げず、 結局は本人の意思を尊重することとなり、阪東とちよは二人で民家を出て行った。 「……行っちゃったわね」 「はい……」 理子とかれんは少しの間、あの二人を心配する言葉をかけ合っていた。 もし、二人が次の放送までに戻らず、さらに放送で名前を呼ばれたりしたら、 理子とかれんは悔やんでも悔やみきれないだろう。 「でも、戻ってくるって約束してくれましたし」 「まあ、カトーくんはここに残ったままだし、きっと戻ってくるわよね。 ……それで、これからどうする?」 「私は……また他の人を探しに行こうと思います」 「わかった、アタシはまた待っていればイイ?」 「はい、お願いします」 かれんは、再び人探しをするため、天満と一緒に持ってきた3つのデイバッグのうち、 自分の分1つだけを持って立ち上がり、理子も、そんなかれんを見送るために腰を上げた。 「それじゃあ、いってきます」 「ウン、いってらっしゃい」 そうして、玄関へ移動した理子とかれんがあいさつを交わしドアを開けた瞬間、 二人とは違う女の子の声が上がった。 「きゃ!」 「え?」 「あ……」 かれんが開けたドアの外には少女が一人、立っていた。 「……」 「……」 「……」 少しの間、沈黙がその場を支配した。 その沈黙を最初に破ったのは理子でもかれんでもなく、ドアの外に立っていた少女だった。 「はじめましてー、宮崎都です」 53:<ある鴉の死と、その死骸の放つ腐臭にまつわる幾つかの断章 後編> 投下順で読む 54:それぞれの事情とそれぞれの結末 後編 53:<ある鴉の死と、その死骸の放つ腐臭にまつわる幾つかの断章 後編 時系列順で読む 54:それぞれの事情とそれぞれの結末 後編 ▲
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メルカトル先生 通称めるちゃん マスター。 がちゃあてることしかできないやーつ 妬み対象。 ちなみにイケメン (情報提供ゼイム) HiLoope 通称ひーちゃん AI厨 まじきちAI厨 名言「俺感度下げたいんだけどAIするとき振り向きが大事だから変えられないんだよねー。」 最近paraつこーとるがな。 ゼイム 通称アッー イケメソ 伝説がある。 自然教室で女子4人とヤった。 ちなみにソースはお好みソース どろソースは外道 Don*K4ts丼. 通称どんかつ ガチャ厨 いや、課金中 SAAへのこだわり。 そして親子丼は嫌いらしい。 GOHN*lucky 通称ゴン 異次元ばっかやっててAVA本来の目的を忘れた子。 鬼ご民でレックス大好き(棒読み ちなみにVCであえぐ池沼 白猫紳士 通称ネコちゃん センシ57(キリッ へんたいAIMer モシン音しなさすぎて弾減ってんのかわからない。 xx鯖太郎xx 通称さばちゃん FGガチ勢 AIM○ ♂○ アッー○ ゼイムのケツ狙い常習犯 らん32 通称らん VCにはいれないこと多い。 理由はおんなつれこんでるからという 仮説が立っている。 ソースはゴン CategoryMK 通称カテちゃん テストなう。 AVAできひん。 [Enj0y]TeN 通称てんぷぎゃのーと いわずとしれたAlastorエース(キリッ 振り向き49cmから繰り出される精密なAIMで敵を倒す。 神スナめざして活動中。 また、Alastorの唯一の人間。 NeoGranZon 通称ねおさん SAAかっちょいい スナうまいっしいfしうぐいd SAAほせぃいいいいいいいい クレ 妃宮千早. 通称ちはやさん 最強だZE☆ミ
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21話:可愛いは正義 朽ちた展望台を、馬に乗った少女、いや、馬と少女の二人が訪れる。 馬、アルジャーノンから少女、戸賀崎かれんがトカレフM1940自動小銃を携えながら下り、 銃を構えつつ展望台の入口へと近付く。 そして顔だけを少し出して展望台の中を覗き込む。 「!」 かれんが見付けたものは、血溜まりの中に倒れる赤い竜の死体と、 壁にもたれて座っている頭の辺りから血を流した犬獣人の少年だった。 「……君、大丈夫?」 「……誰?」 「私は戸賀崎かれん、殺し合いには乗ってないよ。 こっちの馬がアルジャーノンさん」 「こっちの馬って…まあそうだけど…大丈夫か? 怪我してるみてぇだが」 「は……はい……僕は久木山凌河……です……もうちょっとで動けるようになります」 「そう……これは……何があったの? 出来るのなら、話してくれないかな」 惨状を見てかれんが凌河に尋ねる。 「…そこで死んでいる赤い竜の人に襲われたんです……殺されそうになって……返り討ちに」 「君が殺したのか、じゃあ…」 「……はい」 「……殺されそうになったんでしょ? 余り気にしない方が良いよ…君も酷い怪我負ってるみたいだし」 「……」 「…なあ、かれん」 凌河には聞こえないぐらいの小さな声で、かれんの耳元でアルジャーノンが呟く。 「何?」 かれんもまた、同程度の声量でアルジャーノンに返事をする。 「この少年の言う事、全部信用するのか?」 「ど、どういう意味?」 「もしかしたらやる気になってて、俺達を騙してるのかも」 「えっ…そんな事…」 「あるから」 「でも、言ってる事が嘘だって決まった訳じゃないでしょ? 怪我して弱ってるし…放っておけないよ」 「まあ、なぁ……」 「あ、あの、僕、本当に殺し合いには乗ってないんです、殺されそうになったから、その、無我夢中だったんです、 信じて下さい…お願いします……」 二人が自分を疑っている事を勘付いたのか、 凌河は泣きそうな声で二人に訴えた。 獣人の少年の潤んだ瞳で見詰められかれんとアルジャーノンは心臓が締め付けられた。 同時に二人同時に同じ感情を抱く。 可愛い。と。 「……ごめんなさい、凌河君! 疑ってた訳じゃないの、ただこんな状況だから、 ちょっと用心してただけなの!」 「悪い許してくれ! 少し気が立ってただけなんだ! ごめんよ!」 「へ? あ、はい……」 突然泣きながら謝りだした二人に凌河は少し戸惑った。 そしてしばらくして凌河はゆっくり立ち上がる。 先刻受けた身体のダメージも大分回復し、どうにか行動出来るレベルになった。 凌河は二人に自分の父親の事を訊く。 「僕のお父さんもこの殺し合いにいるんです……久木山忠則って言うんですが、僕と同じ毛色で…見ていませんか?」 「見ていないなぁ……」 「見てねぇや……」 「そうですか…無事だと良いんですけど…」 「一緒に捜してあげるよ」 「ああ、旅は道連れ世は情けって言うし」 「本当ですか? ありがとうございます!」 少年らしい元気な声で礼を言う凌河に二人は再度「可愛い」と心臓を射抜かれる思いだった。 凌河は自身のもう一つの支給品であるシグザウエルP239自動拳銃を装備する。 そして先刻自分を襲った赤竜の持っていた散弾銃と予備弾も入手した。 「……武器屋がそう遠く無い場所にあるらしいぜ」 地図を見ながらアルジャーノンがかれんと凌河の二人に言う。 エリアC-3に確かに武器屋との表記があった。 現在いるエリアB-4展望台からは然程遠い場所では無い。 「武装は充実していた方が良いね、行ってみよう」 かれんが決定し、そして三人は武器屋に向かい始めた。 【早朝/B-4展望台出入口付近】 【戸賀崎かれん】 [状態]健康 [装備]トカレフM1940自動小銃(10/10) [持物]基本支給品一式、トカレフM1940自動小銃の弾倉(3)、長ネギ(3)、鍋の蓋 [思考・行動] 0:仲間を集めてこの殺し合いから脱出する。 1:アルジャーノンさん、凌河君と行動。 [備考] ※特に無し。 【アルジャーノン】 [状態]健康 [装備]無し [持物]基本支給品一式 [思考・行動] 0:殺し合いをする気は無いが、良い男がいたら掘りたい。 1:かれん、凌河と行動。 [備考] ※特に無し。 【久木山凌河】 [状態]全身打撲、頭部より流血(歩ける位には治癒) [装備]シグザウエルP239(7/7) [持物]基本支給品一式、シグザウエルP239の弾倉(2)、ウィンチェスターM1912(4/5)、12ゲージショットシェル(10)、 馬のペ*ス型ディルド [思考・行動] 0:お父さんを捜す。 1:戸賀崎さん、アルジャーノンさんと行動。 [備考] ※滅多な事では死にませんが、頭部を破壊されるか身体を焼かれるかすると死にます。 ※服を着てディルドを引き抜きました。 ≪支給品紹介≫ 【シグザウエルP239】 久木山凌河に支給。予備弾倉2個とセット。 シグザウエルP229の小型版で、主に護身用や警備用に用いられる。 本ロワに登場する物は.357SIG弾使用モデル。 前:痕跡を残すな 次:IMITATION 前:ある日森の中、お馬さんに出会った 戸賀崎かれん 次:未完成過ぎる奴ら 前:ある日森の中、お馬さんに出会った アルジャーノン 次:未完成過ぎる奴ら 前:UP TO YOU 久木山凌河 次:未完成過ぎる奴ら